私、俺、僕

幼少期の自分を慰めようと抱き寄せたら滅多刺しにされるという光景が、脳裏に焼き付いて消えない。

良かれと思ってやっているだけだろお前はよ、と言われているみたいだ。

 

いつもそうだろ。これが良いに違いないと勘違いし続けてこうなってるんだよ、と。

 

幼い私は憎くて仕方ないと、私の肩を刃物で繰り返し繰り返し抉り続ける。ひたすら、ひたすら泣きながら返り血を浴びて。

それでも私は子供の私を抱き締めたまま、ずーっと唇を歪めて笑ってる。痛くて仕方ないのに離すことが出来ない。

 

暫くすると、どっちの私も同じように5歳の姿になって、まるで映画「シャイニング」の双子みたいに手を繋いでこっちを見つめてくる。

シャボン玉が弾けるみたいに予告なしにその幻影は弾けて消えるんだけど、ふとしたときにまた瞼の裏に甦る。

シャワーを浴びるとき、あるいは胡瓜の漬物を齧ったとき、そして眠りにつこうとする瞬間に。

 

これからも消えない。

永遠にこうだよ。

お前は変われない。

死ぬまでずーーーーっとこうだ。

人間、一人残らず誰しもそうなんだよ。思い知れ、思い知れ、忘れるな。

 

美しき孤独の姿を忘れるな。