あなたの好きなもの教えてください
みなさんは趣味ってありますか?
私は趣味といえるようなものがありません。
とはいえ子供のころいわゆる図工が得意だったし、国語の授業なんかも得意でそれだけで大学に進学はした。
今思えば、それは物心付くか付かないかの幼き日が始まりのような気がする。
絵を描いてセンスがあると褒められた、ふざけたことを言って親が笑った。
私はたぶん、その時«生きている価値»みたいなものを感じてしまったのかもしれない。
大人に褒められる手っ取り早い方法が図画工作だった。
学校の図工で金賞を取る。それは私にとってすごく簡単なことだったし、力を尽くした。
大人が子供に何を望んでいるか、ちょっと考えればすごく簡単だった。
例えば粘土細工の時間なんかだと、同級生はだいたい可愛い動物を作る。
それがウサギだったりイヌだったりネコだったり、様々だけどたいていそんなもんだ。
そこで私はドラゴンを作った。丁寧にも火を吹かせておまけに卵まで作った。
いわゆる奇をてらうってやつ。みんなが作らなそうなものを作る。
これで小学校では金賞を貰ったし、結構大人は褒めてくれる。
「独自性がある!」なんつってね。
造形の出来栄えなんかは案外関係ない。
この「奇をてらう」方法で今度はイラスト大会で、トリケラトプスを描いた。
また金賞をもらった。「女の子が恐竜なんかを描く」と好評を得た。
めちゃくちゃ簡単だった。
高校の人物画の授業。みんなアイドルやタレントを描いていた。
私は当時はそんなに(高校生間では)ブームでなかったスターウォーズのアナキン・スカイウォーカーを描いた。
みんながにこやかで爽やかな人物画なら、とダークサイドに落ちた眼光鋭いアナキンを描いたんだ。
やっぱり評判はよかった。
でも、全然描きたいものを描いてなかった。
「これをやったらウケる」みたいなものを考えずに何かをすることはなかった。
それは国語の授業なんかにも当てはまる。
とにかく、「人がどう思うか、どういう答えを望んでるか」ばかりを考えていたので、国語は楽勝だった。
よくある「作者の意図を答えなさい」これは全然作者の意図なんか関係ない。
つまりは教育者がどう答えて欲しいか、だからね。
そんなこんなで勉強は出来なくても、生活態度と論文だけで大学には行けちゃうのである。
でも、ここからが大変だった。
大学のゼミも文学を専攻したのだけれど、いきなり教授にこう言われてしまうのである。
「作者と作品は関係ない」
「一旦作者の手を離れた作品は作者の意図など関係ない」
こうなったらもうダメです。
あなたの論じたいように論じなさい。
そんなこと言われたらもうダメ。
ていうか第一、何度も読まれて論じられてきた夏目漱石や太宰治に新しい解釈なんてつくはずなくない???
わけがわからなくなりました。
ゼミの同期のなかには、お前向いてないよってくらいハチャメチャな論文を書いてくる子もいたし、見るからにやる気がない子もいた。
だけど私は中の中です。へいへいぼんぼんってやつ。
学問がダメなら趣味か!と思って一眼レフを買った。
もう全然ダメ。
いや、写真も今でいう「インスタ映え」的な観点でいけばどういうのが«いいね»がつく、とか地方の小さいコンテストで予選を突破できるとか、そういうことはわかるんです。
でも、そんなんじゃダメなんです。
本当に好きでやりたくてやってる人には、な~~~~~~んにも勝てないんです。
これは恋愛にも言えて、やっぱり私は「一般的に見てかっこいい」とか「経済力、自立力、世間体」みたいなもんが頭から離れないんです。
それって愛じゃないと思う?うん、私もそう思う。
とにかく、そうやって«ウケの良い自分»みたいなものに囚われて生きてきた結果、このざまです。
なんもない!!
好きなことも好きなタイプも、やりたいこともやれることも、な~~~~~~んもない!!!!!
虚無です。
みなさんは趣味ってありますか?