私と死

我ながら天涯孤独だと思う。

これは精神的なひとりぼっちだ。

子供向けのアニメヒーローが愛と勇気だけを友達とするならば、私も死だけは20年を越えて連れ添っている。

素敵な紳士に「こんなに君のことを思っているのに、死にたいなんて言うのかい?」と言われても、あなたとはせいぜい二年の付き合いなんだから仕方ない。

この二十余年、飽くことなく隣に居続けてくれたのは死だけなのだから。

例えばあなたが私にさよならを言ったとき、「俺は変わらずここにいるよ」と宥めてくれるのも死だし、彼が「これからずっと一緒にいよう」と言った時、死は私を熱心な目で見つめ離してはくれない。

そして「愛しい君を誰かと分かち合わねばならぬのなら、またそれも仕方ない。なぜなら君は魅力的だからね」なんてキザなことを言って私をたぶらかすのだ。

 

人は四肢を欠損したとき、まだ腕や脚がそこにある錯覚に囚われ、無い手の甲や踝が痒くなったり痛くなったりするらしい。

失ったからだの幻影を追い続けてしまうらしい。

 

あなたがいなくなったとき私はどうなるんだろうね?