いつか私はお姫様で、いつか彼はヒーローだった

連れていってあげるからこっちにおいでよダーリン

 

クリープハイプを聞くと一番精神がボロボロだった頃を思い出す。

離さないでいてくれるならなんでも叶えてあげるから、と言ってくれる人が現れることをずっと思っていた。

私にはその時パートナーがいたけれど、その人とは別にいつかそんな人が現れることを祈っていた。

 

 

世の中の様々な物が妄想から始まっているように思う。

芸術はその最たる物かも知れないが、料理だってそうだ。ウニを初めて食べた人はあんな恐ろしい見た目のものをどうして食べようと思ったのだろう。それをクリームパスタにしてしまうなんて、凄い。アスパラなんか添えちゃったりしてさ。

SF映画に登場した画期的なアイテムはいくつ具現化したのだろうか。

 

 

ただ、私の妄想は終わるだけだった。

幼き頃はジョジョを読めばスタンド使いになり、スターウォーズを観ればフォースを操った。妄想のなかで。

 

中学生の頃はちょっと変わっていて、家庭環境のあまりの寂しさに忠実な侍がよく隣に現れた。

守ってくれるカッコいい大人が欲しかったんだね。あまりに痛々しくて可哀想だけど、こういう妄想に私はなんとか救われてきた。

 

高校の頃もそんな感じだった。

とにかく女子高の閉鎖的な空間から逃れていたかった。都会にいるのに誰もいなかったから。

自分の周りにはいないような派手な大人(髪の毛がピンクだったり唇にピアスが空いているような派手さがいい)がどこか煌めく世界に連れ出してくれる。せめて頭のなかでだけでも。

 

大学生になる頃、初めて男の子とデートをして私は妄想を頭の隅に押しやっていた。

だけど、現実は妄想の世界より全然面白くなかった。なんだ、こんなもんか、と思っていた。

もっと小説みたいなことが起こればいいのに。というか、こんなにつまらないなら、脚色しまくっていずれ私が本を書いてやりたい、とすら思った。

神泉なんかに呼びつけた男を何か事件に巻き込んでやりたい。すごい残忍なやつ。

 

 

まあ、そんなんだからパートナーと上手く行くはずがないよね。

いつも彼の背後をぼんやり眺めていたことを、私は未だに覚えてる。

実は自分には世界で類を見ないような才能があって、それをいずれ誰かが見つけて導いてくれる………そんなことをひたすら考えていた。

 

くっきりとしたイメージのない妄想は今も止めどなく私の周りを漂い続けている。

もっとイメージを具体化させて、そこに向かうまでの道筋を考えたらいつか叶うかもしれないのに。

 

順序だてて考えることが苦手だし一番つまらない作業に思える。

このブログだって成り行き任せで適当に綴っているし。

ああ、努力しないで今、いきなり報われたい。でも、報われるというのは本来何か代価があるから「報われる」と表するのではなかったっけ。

じゃあいきなり幸せになりたい。幸せが何かわからないけど、これが幸せっていうことなんだ!と確信するような何かが起こってほしい。

 

今現在は、私に出来るこの沢山の妄想が何かになったらいいのに、という妄想をしている。